クームス試験て何?

 自己免疫性溶血性貧血になると、初期の頃は血液検査で直接クームスと間接クームス試験を行って、溶血性の判断をされることが多いようです。私も、血液検査で間接クームスは陰性だけど、直接クームスは陽性ですね〜とよく言われていました。

 ところで、この直接クームスと間接クームスは何を調べているのでしょうか?試験の仕組みや、その結果が意味しているところをまとめてみようと思います。

1.クームス試験で検出するもの

  まず、自己免疫性溶血性貧血、特に温式自己免疫性溶血性貧血において溶血が起こる仕組みについてです。温式自己免疫性溶血性貧血では、自分の赤血球の抗原を認識する自己抗体が産生され、その自己抗体を貪食細胞(マクロファージ)が認識し、赤血球が破壊されることで溶血すると考えられているようです。

 要するに、赤血球にくっついた目印を目標にして貪食細胞がやってきて、赤血球を食べてしまうわけですね。アレルギーも似たような仕組みなので、赤血球に対するアレルギー反応みたいなものなんでしょうね。

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 クームス試験では、この赤血球に結合し得る抗体の有無を調べます。クームス試験には、「直接」「間接」があります(たぶん治療初期の頃の血液検査結果に載っていると思います)。直接クームス試験では、赤血球表面に結合している抗体を検出するのに対し、間接クームス試験では、血清中の遊離抗体を検出します。

2.試験の方法

 クームス試験は、血液あるいは血清にクームス試薬を添加し、赤血球が凝集するかどうかを判定します。赤血球表面に結合している抗体を直接検出する方法が「直接クームス試験」で、採取した血液にクームス試薬を添加して、赤血球が凝集するかどうかを見ます。凝集したら陽性となります。

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 間接クームス試験では、採取した血液の血清を使います。血清というのは、採取した血液をそのままにすると凝固するので、これを遠心分離という操作によって分けた上澄のことです。凝固した方には、赤血球、白血球、血小板が含まれますので、赤血球に結合した抗体は除かれていることになります。つまり、「間接クームス試験」は赤血球に結合することができるのにまだ結合していない抗体があるかどうかを調べることになると言えるかと思います。

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3.試験結果をどう捉えるか

 血液検査では、これまで11回クームス試験を実施しましたが、いずれも直接クームス試験は陽性、間接クームス試験は陰性でした。プレドニンが3mgに減った1年後でもまだ陽性でしたが、溶血性は改善していました。ここ最近はクームス試験をやっていないので今度の結果が楽しみではあります。とは言え、あまり期待はしてませんが・・・

 試験の原理からすると、直接クームス試験は赤血球に抗体が結合しているという事実は示していますが、溶血しているということを示すものではない、ということは頭に入れておいたほうがいいです。逆の事実も大事で、溶血が改善していても、直接クームスが陽性なら、赤血球に抗体が結合している状態は変わらない、すなわち何らかのトリガーによって貪食細胞が活性化して制御できなくなれば、再び溶血する可能性がある、ということです。

 このトリガーが何なのかは気になりますが、パッと調べただけでは分かりません。ありきたりなところで言えばストレスとか、病気とかでしょうか・・・。いずれにしても、人間の免疫のシステムから考えると、容易に抗体が変質するとは思えませんので、かなり長いお付き合いになることは確実かなぁと思っています。